てんかんとは、病気や脳の損傷など、さまざまな原因によって
失神やけいれんといった発作を繰り返す、慢性の脳の疾患です。
脳の中では、微量の電気が流れ、それによって人間の体は動いています。
その電流が異常に流れることで、体の制御ができなくなります。
脳の電気嵐と説明されることが多いです。
てんかんの発病率は、人口の0.5~1%と言われています。
だいたい、100人に1人がてんかんを抱えている計算になります。
発症年齢は、3歳以下が一番多く、次いで18歳未満、
特に思春期に多いといわれています。
最近では高齢化に伴い、脳血管障害を起こした高齢者の発症も増えています。
てんかんを抱えている人が発作を起こし、目の前で倒れ全身を
大きくガクガクとけいれんさせている状態を見ると、
どうしていいかわからず、パニックになってしまうことと思います。
目の前の人が発作を起こしているときにまずすべきことは、
救助する自分が冷静になることです。
てんかん発作を起こしている人がいたら、
まずはその人の状態をしっかりと観察しましょう。
けいれんが体の一部に出ているだけで、全身に広がっていかないときは、
倒れている人の身の安全を確保し、そのまま静かに様子を見ましょう。
けいれん中に周囲にあるものに体をぶつけ、
けがをしてしまわないよう、危険物は取り除きましょう。
全身がけいれんを起こしている状態でも、たいていは1分~数分で
発作がおさまり、10~20分後には意識が回復することが多いので、
そのまま様子を見ましょう。
倒れている場所が危険な場所(階段や道路など)であれば、
安全な場所に移動させ、呼吸しやすいよう衣服を緩めます。
発作が続いている時間を測り、けいれんの様子をしっかり観察してください。
以下に、対応方法をまとめます。
【てんかん発作の対処法】
★発作時
・けいれんの最中は、名前を呼んだり、たたいたり、抱きしめたり、
揺さぶったりしないようにしましょう。そっとしておくことが大事です。
・けいれんの最中に、患者の口の中に指や物を入れないでください。
「舌をかまないように」と、手や物を入れることは絶対にやめてください。
歯が折れたり、口の中をけがしてしまったり、窒息してしまう可能性があります。
また、指をかまれてしまうこともあります。舌をかまないようにするには、
患者の下あごをしたから軽く押し上げましょう。
・意識のないまま動いてしまう(自動症)ときは、危険がないよう見守ってください。
無理に抑え込もうとすると、抵抗して暴れることがあります。
★発作後
・吐いた時に気管に嘔吐物が詰まらないように、寝かせた状態で顔を横に向けましょう。
・発作後、朦朧状態で動いてしまうこともあります。その時は、物にぶつかったり、
危険な物に触ってしまわないよう、軽く寄り添って保護してください。
無理に押さえつけようとすると、思わぬ抵抗にあうことがあります。
・発作後、脳は過剰な活動の疲れをとるため、眠りにつくことがあります。
発作後に眠ってしまったときは、そのまま寝かせてください。
★入浴時
・湯船の中で発作を起こしたときは、お湯から顔をあげ、呼吸を確保します。
・うまく顔が上がらないときは、浴槽の栓を抜き、排水してください。
・呼吸が止まっていたり、大量のお湯を飲んでいるときは、
すぐに浴槽の栓を抜き、救急車を呼びましょう。
★食事中
・食べ物がのどに詰まってしまうことは、あまりありません。
けいれん中に無理に口の中のものを出さなくても大丈夫です。
・食事中の発作で、熱いものに触れてしまわないよう、熱いものは
患者の近くではなく、遠くに置くようにしましょう。
熱いものに顔から突っ込んで、やけどをしてしまうこともあります。
参照:自閉症と知的障害の特徴
参照:知的障害子供の特徴
★けいれんが続くとき
・一度けいれんがおさまっても、意識が戻る前に再びけいれんが
始まるときや、けいれんの時間が長いとき(重積状態)は、
すぐに救急車を呼んで病院に向かってください。
医師による治療が必要です。
以上が、てんかん発作時の対応です。
一番大事なのは、あわてず騒がず、冷静に発作を観察することです。
発作を観察し、医師に詳しく発作時の状況を伝えることで、
治療も適切に進めることができます。