「精神遅滞」と「知的障害」は、一般的に使われる分には、
同じものと考えて差し支えありません。

 

しかし、二つの名称が存在しているには、きちんと理由があります。
「精神(発達)遅滞」とは、医学上の診断名です。


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知的障害とほぼ同義ですが、知的障害に加え(IQ70以下)、生活面、
つまり自己管理や家庭での生活における支障、社会性や対人能力の弱さ、
地域社会とのかかわりの弱さ、自律性における支障、学習能力や仕事の

能力の弱さ、自由時間の過ごし方が不適切、健康管理が苦手、安全管理
ができないといった事柄のうち、2項目以上が実年齢に応じた適応力を
下回っていること、と定義されています。


 

つまり、IQだけでなく(IQは知能のごく一部しか検査していません)
全般的な知能の遅れということです。

これらの遅れが18歳までに現れた場合に精神(発達)遅滞と診断されます。

 

まとめると、以下のようになります。

 

【精神(発達)遅滞の定義】

 

①全般的な知的な機能が、同じ年齢の子どもと比べて、明らかに遅れている
②適応能力が明らかに制限されている
③18歳までに生じる


 
「知的障害」は、法律上の言葉です。

 
知的な発達が、その年齢の平均より明らかに遅れとどまっている状態を指します。

金銭管理や身辺自立などの日常生活にかかわる支障、
読み書き、計算などの学習に関する支障があります。


 

かつては、学校教育法などの法令用語として「精神薄弱」という言葉が使われ、
医学用語として「精神薄弱」や「精神(発達)遅滞」という言葉が使われていました。

しかし、「精神薄弱」という言葉が不適切用語となったため、
言葉を改める必要が出てきました。

 

そのとき、医学界では「精神(発達)遅滞」に言葉を統一しました。

しかしその後、「精神(発達)遅滞」という名称も、精神疾患と混同されるなど、
不適切だとの意見が出たため、法令用語としては「知的障害」と言い換えることになりました。


 

このようにして、「精神(発達)遅滞」と「知的障害」の2種類の
言葉が使用されることになり、今に至ります。

一般的には「知的障害」と言われますが、医学界では「精神(発達)遅滞」
「知的障害」は、厳密には使い分けられているようです。

 
知的障害の発症率は、人口の1~3%と言われ、男女比はおよそ1.5:1とされ、
大昔から一定数存在していたと言われています。


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知的障害は、知的機能によって、4つの区分に分けられています。

 

【知的障害の区分】



 
・IQ50~69…軽度知的障害
・IQ35~49…中度知的障害
・IQ20~34…重度知的障害
・IQ20未満…最重度知的障害



 
※IQ70以上は健常者とされていますが、
IQ70~80(もしくは85)をボーダーと呼ぶこともあります。


 
軽度知的障害では、成人後の学力はおよそ小学校5年生か6年生程度にとどまります。

中度知的障害では小学校2年生・3年生程度、重度知的障害では3~6歳程度の知能、
最重度知的障害では3歳未満の知能となります。

 
知的障害の原因には、様々なものがあります。


 

【知的障害の原因】


 

①生理的要因…

 
生まれ持った能力によるもの。脳の発達が遅く、知能が低くなると考えられており、
これといった原因はない。親からの遺伝と思われる場合もある。


 
②病理的要因…

 

脳に何かしらの病気や損傷があることによって、知能の発達が妨げられることで起こる。

脳外傷、感染症、脳内の出血、出産時のトラブル、胎児期の母親の感染症、
母体外からの物質による中毒、ダウン症をはじめとする染色体の異常、
フェニルケトン尿症などの先天性の疾患、てんかんなどが原因として考えられている。

 

③心理的・環境的要因…


 
知能の発達に不適切な環境に置かれていたことにより起こる。
リハビリでIQが回復することもある。

 
一口に「精神(発達)遅滞」や「知的障害」と言っても、発達の度合いや
自立の度合いは、人それぞれです。

適切なかかわりによって、大きく伸びる可能性もあります。

 

また、ある程度自立して生活できる可能性も、十分にあります。