最近、自閉症という障害の名前が、随分と浸透してきました。
それに従って、赤ちゃんのちょっとした行動で
「うちの子は自閉症じゃないか?」と心配になる保護者の方も、
いらっしゃることと思います。
実際に、子供の様子に違和感を感じたことで、
早期に自閉症に気付くこともあります。
また、自閉症の「傾向」があると判断され、
早期に療育を受けた結果、自閉症と診断されることがないくらい、
傾向が薄くなる場合もあります。
自閉症とは、生まれつきの脳の機能の障害である、
と言われています。
ですから、生まれた時から、違和感がある場合もあるのです。
症状が顕著になるのは、2~3歳頃と言われ、
大抵は症状が出そろう3歳ころに診断が出ます。
しかし、重度の自閉症である場合、
1歳半頃に診断が出ることもあります。
自閉症には、重度の自閉症から、軽度の自閉症まで、
様々な自閉の「濃さ」があります。
それら重度の自閉症や、軽度の自閉症
(アスペルガー症候群や特定不能の広汎性発達障害など)を含めて、
『自閉症スペクトラム障害』と言います。
自閉の濃度によって、特徴の現れ方も変わってきます。
では、自閉症の赤ちゃんには、どのような症状があるのでしょうか。
一般的によく言われていることを、挙げてみましょう。
【自閉症の赤ちゃんの特徴】
・乳をあげても目が合わない
・抱っこされることを嫌がり、横抱きでは親とは反対方向を向く。
たて抱きではエビ反りになって落ちそうになるくらい嫌がる。
・喃語が少ない
・喃語は出ているが、一人でしゃべっていて、大人に話しかけるような様子がない
・言葉が出ない、言葉が遅い
・その場でぴょんぴょん飛び跳ねたり、くるくる回り続けたりする
・自分の手を目の前にかざし、それをずっと眺めている。
上下に動かしながら眺めることもある
・光るものをじっと見つめる
・回るものを見続ける
(扇風機の羽、ベビーカーのタイヤ、ミニカーのタイヤなど)
・意味の分からない言葉、いわゆる宇宙語が多い
・おうむ返しがある
・同じ言葉を何度も繰り返し発音する
・大人の手をクレーンのように操り、
ものを取らせる動作(クレーン現象)が長く続く
・名前を呼んでも振り向かない
・あまり笑わない
など
これらの中で、手に出る特徴は、
★自分の手を目の前にかざし、それをずっと眺めている。上下に動かしながら眺めることもある
★大人の手をクレーンのように操り、ものを取らせる動作(クレーン現象)が長く続く
★手をひらひらしたり、鳥がはばたくようにパタパタと腕を振る
★逆さバイバイがなおらない
★手や指をねじまげる、くねくねさせる
です。
目の前に手をかざすことは、健常の赤ちゃんでも行います。
そうして、それが自分の手であることを認識しているのです。
ですが、自閉症の症状である場合、その行動が10分、
20分と長時間にわたって行われます。
手をひらひらしたり、パタパタと腕を振ったりする行動は
自閉症の特徴として有名ですが、時には激しく腕を
バタバタと振ることもあります。
手や指をくねくねさせたり、ねじまげたりする行動も、
健常の子供にはあまり見られません。
これらは、自己刺激行動と言って、自分で自分に
刺激を与える行動です。
興奮したり、不安になったりしたときに出ることが多いです。
また、暇を持て余している時にも出ます。
手遊びのような感覚です。
クレーン現象や逆さバイバイに関しては、
健常児でも一時的にみられることがあります。
すぐにおさまる場合は過度に心配する必要はありませんが、
あまりに長期間続く場合、専門家に相談するべきでしょう。
参照:小児自閉症評定尺度
参照:小児自閉症の特徴は人見知り?
いくつか特徴を挙げましたが、これらの行動をするからといって、
必ずしも自閉症であるとは言い切れません。
また、自閉症であれば、
これらの特徴が必ず出るわけでもありません。
いずれにしろ、なにか違和感がある場合は、
発達の専門家に相談しましょう。