DSMとは、アメリカ精神医学会によって作られた、
精神疾患の診断基準です。

日本では、「精神障害の診断と手引き」と呼ばれています。

 

この基準は、アメリカの精神医学会で作られたものですが、
世界中で使用されています。


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自閉症とその周辺の障害について、ここ十数年使用されてきた
DSM-Ⅳでは、「広汎性発達障害」という項目があり、

その中の細かな分類として、

・自閉性障害(いわゆる自閉症)
・小児期崩壊性障害
・レット障害
・アスペルガー障害
・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)


が定められていました。

 

最近、DSM-5が新たに発表され、自閉症とその周辺の
障害についての基準が、大きく見直されました。

まず、「自閉症スペクトラム障害」が新設され、
そこには、DSM-Ⅳにおける

 

・自閉性障害
・アスペルガー障害
・特定不能の広汎性発達障害


が含まれることになりました。

 

また、X染色体の異常が原因で発症するレット障害は
別の障害として除外され、小児期崩壊性障害は
折れ線型の自閉症と区別する必要がないとして、
自閉症スペクトラム障害に統合されました。

 

自閉症とその周辺の障害は、症状の重い・軽いはあるものの、
実はひとつながりの連続体であり、同じ障害であるととらえることを、
診断基準に明記したのです。

 

DSM-Ⅳでは、「社会性の障害」と「常同性」のどちらか
一つがあれば、広汎性発達障害と診断する、と決められていました。

しかし、DSM-5では、「社会性の障害」と「常同性」の両方が
あることが必要となりました。

 

これは、「自閉症」とするからには、あくまでも自閉症の特性が
揃っていなければならないからです。

これによって、DSM-Ⅳのあいまいだった部分が
回避されることになりましたが、その反面、今まで特定不能の
広汎性発達障害(PDD-NOS)と診断されていた人たちが、
診断からもれる可能性がでてきてしまいました。

 

また、自閉症スペクトラム障害であるにもかかわらず、
幼いころには常同性があったが、大人になるにつれて
消えていたり、生活に支障のないレベルになっていた場合、
診断からもれてしまうことも考えられます。

 


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診断からもれるが、支援が必要である人のために、
DSM-5では新たに「社会コミュニケーション障害」
の定義が設けられました。

 
社会コミュニケーション障害は、DSM-Ⅳの診断基準の
特定不能の広汎性発達障害に該当するもので、
特に社会性の欠如や他者とのコミュニケーション、
意思疎通に目立った困難を抱えている場合に診断されます。

 
DSMにおける、自閉症スペクトラム障害の診断基準について、
載せておきます。

 

【DSM-5、自閉症スペクトラム障害】

 

A,B,C,Dの四つの項目を満たしていることで診断する。

 

A 社会的コミュニケーションと相互関係における、
持続する障害(以下の項目すべてを満たすこと)


・他者との交流における非言語的コミュニケーションの障害
(視線が合わない、表情が乏しい、など)


・年齢相応の対人関係を築く能力の発達や維持の障害
(お友達と遊べない、状況に合った関係を築くことが難しい、など)


 

B 限定され、何度も繰り返される行動や興味、活動
(以下の4つのうち、2つ以上を満たすこと)


 

・常同的で何度も繰り返される運動・動作や、ものの使い方、
話し方(ぐるぐる回る、ぴょんぴょん飛び跳ねる、
おもちゃのタイヤをくるくる回し続けるなど)


・「いつもと同じ」であることへのこだわり、日常の動作を
変化させることができない融通のきかなさ、言語・非言語の
儀式的なパターン


 

(エコラリア、ものの置き場所が変わると怒る、道順が変わると怒る、など)

・集中力の異常がある、一点集中など、異様に強く限定され、
固定された興味がある

(過集中、一つのことに没頭する、特定のものにこだわる、など)

 

・感覚の入力に対する反応が異常、感覚や環境に関する関心が異常
(感覚過敏、感覚鈍麻など)


 

C 症状は発達の早期において必ず出現するが、その症状が青年期など、
後になって明らかになる場合もある。


(逆に、発達の早期に全くそれらの症状が見られなかったことが確認できた場合、該当しない)

 

D 症状は、社会生活や職業生活、日常生活などにおいて、
重大な障害となっている


 

以上です。

DSM-5において、はじめて感覚の異常に関する項目が、
診断基準として設けられました。

DSM-5の診断基準では、診断からもれる人がいるかもしれないと
書きましたが、既にアスペルガー障害や特定不能の広汎性発達障害の
診断を受けている場合、それらの診断名がはく奪されることはないとされています。


 

これから診断を受けるのであれば、DSM-5の診断基準で
診断を受けることが多くなっていくことでしょう。

今後、自閉症スペクトラム障害と診断される人の数が減るかどうかは、
実際に運用され始めてみないとわかりません。