自閉傾向とは、自閉症ほど重く顕著な特性を持ってはいかないが、
自閉症と同じような特性を兼ね備えている状態のことを言います。

 

幼すぎて自閉症と判断できない場合や、自閉症の特性が薄く、
自閉症と言い切ることができない状態で、しかし何らかの対応が
必要な場合、医師がそのように言うことが多いです。


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また、自閉症の診断は医師にしかできないため、発達相談などで
「自閉症の傾向があります」という表現をされることがあります。

 

ここでいう自閉症とは、狭義の自閉症で、いわゆる
「自閉症(カナ―タイプ)」や「高機能自閉症」に当たるものです。

それら以外の、「非定型」と呼ばれる自閉症の仲間が、
自閉傾向と呼ばれます。

 

もっと具体的にいいますと、アスペルガー症候群の一部
(比較的軽度のもの)と、PDD-NOS(特定不能の広汎性発達障害)

と呼ばれるもの、あるいは「自閉症スペクトラム」の概念における
グレーゾーン(自閉症スペクトラム障害と健常者との境目)のあたりを指します。

 

要するに、「自閉度が比較的軽いもの」
「自閉傾向」と呼んでいるのです。

現在では、重度の自閉症から自閉傾向までをひっくるめて、
「自閉症スペクトラム障害」と呼んでいます。

 

自閉症の診断には、
3つの障害を持ち合わせていることが条件とされています。

 

【自閉症診断の条件】

 

①社会性の障害


 

・向かい合っているのに視線が合わない。無理に合わせようとすると視線をそらす
・呼びかけても振り向かない。名前を呼んでも振り向かない
・親など、身近な大人への呼びかけがない
・他人に興味がない


 

・一人で黙々と遊んでいる。遊んであげようとすると怒る
・お友達と一緒に遊べない。
・異様にマイペースで、邪魔されると怒る
・一人でいても平気
・母親を求めない

など

②コミュニケーションの障害

 

・言葉が出ない、言葉が遅い
・言葉が出ても、なかなか文章にならない
・言葉の使い方が変
・話せるがイントネーションがおかしい
・おうむ返しが多い
・宇宙語をしゃべる期間が長い


 


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・話せている場合、話しているほどには理解できていない
・ジェスチャーやアイコンタクトが極端に少ない
・表情の変化が少ない
・指差しをしない


 

・大人の手を持って、
クレーンのようにうごかしてものを取らせる(クレーン現象)
・逆さバイバイをする
・空気が読めない
・冗談や皮肉が分からない

など

 

③想像力の障害



 
・手を目の前にかざし、その隙間から景色を見る
・手をひらひら動かしたり、鳥がはばたくようにパタパタと振る
・その場でくるくる回り続ける
・爪先立ちで歩く
・ぴょんぴょん飛び跳ねる


 
・体を前後に揺らしたり(ロッキング)、横揺れしたりする
・同じ言葉を繰り返し言い続ける
・光るものや回るものを見つめ続ける
・一つのことに熱中し、声をかけても気付かない


 
・ずっと同じ動作や行動を繰り返す
・特定のものに執着し、それがないとパニックになる
・いつもと同じであることにこだわる(生活習慣や道順など)
・状況や環境が変わるとパニックを起こしたり、かんしゃくを起こす

など

これらの3つの状態が顕著である場合に、自閉症と診断されます。

3つの状態が揃ってはいるが軽い場合や、3つの状態が揃わず、
1つ・2つのみ見られる場合に、自閉傾向と診断されるのです。

 
自閉傾向は、「自閉症スペクトラム」という考え方の中では、
重度の自閉症からひと続きの連続体である、ととらえられています。

ですので、障害の発生原因は自閉症と同じであると考えられます。

 

自閉症の発生原因は、いまだ不明ですが、脳の機能に何らかの
異常があることが指摘されています。

生まれ持った脳の特性ともいえるものです。

 

その特性は、生まれつきのものであり、治ることはありません。

しかし、療育を受けたり、適切なかかわりを持つことで、
症状自体は軽くすることができます。

 

適切な指導を受けることで、自閉傾向はマイルドになり、
健常者と見分けがつかない状態にすることも可能です。

一番いけないのは、不適切な関わり方をすること、
本人にとって不利になる関わり方をすることです。

 

そのような関わり方をしてしまった場合、適応障害や
うつ病などの二次障害を引き起こし、社会生活が
困難になることがあります。


自閉傾向といえども、本人の将来のために
適切な対応を取ることが大事です。