自閉傾向とは、はっきりと自閉症と判断できない場合や、
自閉症まではいかないが、自閉症の特性を持っている
状態のことをいいます。

 

自閉症の3つ組の障害である


「社会性の障害」
「コミュニケーションの障害」
「想像力の障害」


 

の現れ方が薄かったり、3つ組の一部が目立たない場合に、
「自閉傾向」と言われます。


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現在は、3つ組の障害が顕著である重度の自閉症から、
自閉傾向までの全てをひっくるめて、「自閉症スペクトラム障害」
と呼んでいます。

 

自閉症スペクトラム障害において、「グレーゾーン」と呼ばれる、
健常者と自閉症スペクトラム障害の境目に位置するのが、
自閉傾向と呼ばれる状態です。

 
では、自閉傾向の場合、どのような特徴が見られるのでしょうか。

年代を分けて、見ていきましょう。

 

【2歳・3歳ころ】


 
・目が合いにくい。視線が合うこともあるが、
後ろのどこかに焦点が合っているようだ。
・その場でくるくる回ることがある。


・ふつうの子供よりも、こだわりが強いが、個性の範囲内とも取れる。
・かんしゃくが強い。そういう性格なのか、見分けがつきにくい。


 

・言葉の発達が遅れ気味。しかし、話せないわけではない。
・言葉は話すが、会話がかみ合わない。言葉の使い方が変。


・お友達と遊べていない。一見遊べているように見えても、
同じ場所にいて一人遊びをしている。


 

・呼びかけに反応しにくい。
・見知らぬ人に突然話しかけてしまうことがある。
・顕著ではないものの、エコラリア(おうむ返し)が見られる。
・独り言が多い。
・いつもと違うことが起きると、不機嫌になる。


 

・手をひらひらしたり、くねくねして遊んでいることがある。
・特定のものに執着する。
・表情が乏しい。


 
以上、2歳・3歳ころに見られる状態を挙げてみました。

しかし、これらは健常の子供にも見られるものであり、
極端な行動でない限り、異常とみなすことができません。

 

自閉傾向の場合、極端な行動が出にくく、性格なのか、
成長の途中で当たり前に起こる現象なのか、
障害による特性なのかが判断しにくいのです。

育てている保護者も、「絶対変だ!」という強い不安ではなく、
「何となく変かも?」という漠然とした不安を抱くことが多いようです。

 

【小学生のころ】


 
・目が合いにくい。
・くるくる回ったり、手をひらひらしたりという行動は、
人前ではしない場合も。その代りに、貧乏ゆすりをしたりする。


 

・授業中にじっと座っていられない。
そわそわしている。歩き回ってしまうこともある。
・お友達と関わろうとするが、上手くいかずトラブルが多い。
・気持ちが上手く伝えられず、癇癪を起こす。



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・気分の切り替えが下手で、いつまでも嫌な気持ちを引きずる。
・集中力の異常(注意力が散漫すぎる、一つのことに集中しすぎる)。
・いつもと違うことがあったり、予定(時間割など)が
 変更になったりすると、不機嫌になる。
・独り言が多い。授業中でも大きな声で独り言を言ってしまう。


 

・お友達とのコミュニケーションが少なく、孤立しがち。
・ボディランゲージやアイコンタクトが苦手。
・表情の変化が少ない、表情のつくり方がぎこちない。
・何度も同じことを聞く。
・話がかみ合わない。


 

・冗談や皮肉が通じない。
・同じ作業を何度も飽きずに繰り返す。
・みんなが笑う場面で、その面白さが分からず一人だけ笑わない。
・空気が読めない。
・いつまでも、幼児のようにこだわりが強い。
・先生の指示が通りにくい。


 
以上が、小学校のころにみられる状態です。

いつまでも一人だけ、周りの子供に比べて
幼く感じられることが増えてきます。

個人差の範囲内にはおさまらなくなってきます。

 

お友達とのトラブルが多く、学校の先生からの指摘で
専門機関に相談し、自閉傾向が発覚する場合があります。

 

【大人の場合】


 
・仕事でミスが多い。
・上司や先輩の指示が通りにくい。
・約束が守れない。納期が守れない。遅刻を繰り返す。
・人と上手く付き合えず、もめごとが多い。


 

・人の話を聞かない。
・一人で一方的に話し続ける。
・場の空気が読めない。
・すぐに怒る。よくわからないことで怒る。


 

・片づけられない。
・落ち着きがない。
・仕事などの段取りがきちんとできない。
・目が合いにくく、アイコンタクトが通じない。
・冗談や皮肉が通じない。


 
大人の自閉傾向の人の特徴は、以上のようなところでしょうか。

自閉症ほど症状が強ければ、周囲が明らかにおかしいと気付きますが、
それほど症状が顕著ではないので、周囲も「変な人だな」という程度に
しか思わないことも多々あります。

 

そのため、必要な配慮を受けることができず、「仕事ができない奴」
として追い詰められる場合もあります。

 
自閉傾向は、自閉症ほど症状が強くないがために、
発見が遅れることが多々あります。

大人になるまで気付かれずにきてしまい、うつなどの二次障害が
出て初めて、自閉傾向があることが発覚する場合もあります。

 

自閉傾向であっても、自閉症と同じく、適切な療育を受けることで、
通常の社会生活を送ることが可能です。

発見しにくい「自閉傾向」だからこそ、
よく注意をして子供を観察しておく必要があります。