自閉症スペクトラム障害は、生まれつき脳の機能に
異常があるために発生すると言われています。

しかし、まだはっきりとした原因が分かってないため、
確立した治療法というものは存在しません。

 

また、そもそも自閉症スペクトラム障害は脳の「特性」であり、
治療されるべきものなのか?という問題も指摘されています。


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当事者の中でも、治療できるならしたい、という人と、
治療しなくていい、自閉症スペクトラム障害を抱えて
いてこそ自分である、という人がいます。

 

現在、自閉症スペクトラム障害の改善に、一番効果があると
されているのが、幼いころからの療育です。

療育では、生きていくために必要なスキルを
身につけることができます。

 

自閉症スペクトラム障害の子供の療育では、
コミュニケーションスキルや社会性を身につける訓練が行われます。

TEACCHという、自閉症療育プログラムが有名です。

 

この療育を受けることで、日常生活に支障がないように
することは可能です。

自閉の重い軽いによっても効果は変わってきますが、
症状をマイルドにすることは可能なのです。

 

また、大人になっても、ある一定の年齢まではSST
(ソーシャル・スキル・トレーニング)などの訓練が
効果的だとも言われています。

それ以外に、なにか方法はないのでしょうか?

 

昔から、自閉症の治療法について様々な研究がなされています。

その昔は、まだ研究がきちんと進んでおらず、心が開かれれば
治るとか、テレビを見せなければいいとか、愛情不足が原因で
あるなどといった、何の根拠もない情報が飛び交っていました。

 

その後も、水銀のデトックスをすると自閉症が治るとか、
グルテンフリーの食事にすると自閉症が治ったとか、

牛乳を飲むのをやめたら自閉症が治ったとか、
腸内環境を整えると自閉症が治ったとか、
そういった情報が錯そうしています。

 

しかし、自閉症スペクトラム障害のしくみ自体がまだ
解明されておらず、厳密な治験を通った治療法は、
まだ確立していません。


そのため、親が期待してしまうような代替療法が
蔓延してしまっています。

 

「自閉症スペクトラム障害は治ります!」というような、
怪しげなホームページも沢山あります。


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中には有害なものもありますので、
安易に手を出してはいけません。

 

しかし、近年、自閉症スペクトラム障害に関する研究は
急速に進んでおり、ごく最近、東大においてある実験が行われ、

「オキシトシン」というホルモンを、経鼻スプレーで
自閉症スペクトラム障害の男性に投与すると、

周囲とコミュニケーションを取るようになり、
対人コミュニケーション障害の改善が見られる

という研究結果が発表されました。

 

オキシトシンを吸入することにより、自閉症スペクトラム障害の
ため元来低下していた内側前頭前野の活動が活性化し、
対人コミュニケーション障害が改善されたと考えられています。

オキシトシンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、
従来、分娩の促進や乳汁分泌促進作用が知られていました。

 

しかし、男女問わず脳内にもオキシトシンの受容体が多く存在し、
脳への未知の作用について関心がもたれ、研究されていました。

他者との信頼関係を築きやすくする効果が報告され、
注目を集めました。

 

愛情や信頼感といった感情に大きく影響すると言われています。

東大の研究者は、このオキシトシンの作用に目をつけ、
知的障害がなく、二次障害の精神疾患が軽い40人の
男性を集め、彼らに投与してみたのです。

 

オキシトシンと、プラセボ(偽薬)の効果を比較すると、
オキシトシンによる効果がはっきりと認められました。

しかも、いまのところ、副作用は確認されていないそうです。

 

今回の実験では、男性のみが対象であったため、
女性への効果は報告されていません。

しかし、霧状にして鼻から吸い込むだけでコミュニケーション能力が
改善するのであれば、こんなにいいことはないでしょう。

 

全ての人に効果があるわけではないかもしれませんが、
これからさらに研究がすすめられ、自閉症スペクトラム障害の
症状が薬によって軽減できる時代が来るかもしれません。

ただし、自閉症スペクトラム障害を治療することにより、
本人の持つ得意分野が失われてしまう可能性も、
一部で指摘されています。

 

障害を治療するか、得意分野を保存し伸ばすか。

それは、当事者が決めることかもしれません。