自閉症スペクトラム障害とは、発達障害のカテゴリーに分類される障害で、
「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」
の三つの障害を併せ持つ障害のことをいいます。

 

自閉症スペクトラム障害には、従来、「自閉症」「広汎性発達障害」
「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」「高機能広汎性発達障害」
「特定不能の広汎性発達障害」
などと呼ばれていたものが含まれます。

 


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昔は、知的障害を伴う重度の自閉症のみが、「自閉症」とされていました。

第二次世界大戦のころ、レオ・カナーという人が、自閉症の定義を発表しました。

 

知的障害を伴う重度の自閉症は後に、
彼にちなみ、カナ―タイプと呼ばれるようになります。

同じころ、ハンス・アスペルガーという人が、
言葉は流暢に話すけれど、コミュニケーションや社会性、
想像力に違和感のある子供たちの存在を報告しました。

 

しかし、ドイツ語の論文であったため、
それは注目されることなく、忘れ去られました。

それが最近になって再び注目されるようになり、
「アスペルガー症候群」として有名になりました。

 

今までは、自閉症を「自閉の程度」
(社会性の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害の3つの障害の強さ)
「知能指数の高低」で、分類し、IQが低く(~IQ75くらい)で、

自閉度が高いタイプをカナ―タイプの自閉症(あるいは古典的自閉症)と呼び、
IQが低く自閉度が比較的軽いタイプを、自閉傾向のある知的障害と呼んでいました。

 

また、IQの高いタイプを高機能自閉症・アスペルガー症候群
・高機能広汎性発達障害などと呼んでいました。

IQの低いタイプと、IQの高いタイプの自閉症は、
はじめ、別の障害だと考えられていました。

 


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しかし、「社会性の障害」「コミュニケーションの障害」「想像力の障害」
の3つ組の共通する特徴があることがわかり、
それらはかなり近い障害ではないか、と考えられるようになりました。

また、従来の分類方法では、
はっきりと境界線を引くことが難しい場合も出てきました。

 

そこで考え出されたのが、これらをひとまとめの障害としてとらえる
「自閉症スペクトラム」という考えでした。

この場合、自閉症スペクトラム障害と知的障害は、分けて考えられます。
「スペクトラム」というのは、虹のような連続体のことを言います。

 

虹は、赤・ピンク・オレンジ・黄色・黄緑・水色・紫の7色があると言われています。

しかし、その7色はここからここまでは赤で、ここからここまではピンクで、
ときっちりと分かれているわけではありません。

 

グラデーションになっていて、少しずつ色が変化していて、
全ての色が連続しています。

自閉症もそれと同じで、話せないほど重い自閉症から、
会話もでき社会生活もできる軽いものを含め、
健常者までひとつながりの連続体である、と考えられています。

 

自閉症スペクトラムの特性には、健常者に見られるものもあります。

その特性の現れ方が濃いか薄いかという違いがあるだけだ、
というのが「自閉症スペクトラム」の考え方です。

 

お習字で使う墨を、水に溶いた状態を考えてみましょう。


一滴の墨も混ざらず、濁りのないまっさらな水が健常者です。

そして、少し墨を垂らし、かき混ぜた状態が軽度の自閉症。

 

もう少し沢山の墨を垂らし、色が濃くなったものが中等度の自閉症。

墨をたくさん入れて、真っ黒になったのが重度の自閉症。

そう考えると、わかりやすいかと思います。

 

その場合、虹というよりも、グレースケール(黒から白までの色の移り変わり)
を思い浮かべていただければ、より一層理解しやすいと思います。
虹にはいろいろな色があるように、自閉症スペクトラムもまた、
多種多様な状態が存在します。

 

同じ「自閉症スペクトラム障害」でも、3つ組の障害の出方は様々で、
誰一人として、同じ状態である人はいないのです。

 

健常者が十人十色であるように、
自閉症スペクトラム障害の人もまた、十人十色なのです。