自閉症の診断基準は大人と子供ではそれほど差はありません。
しかし大人になってから気が付くと言うことは
高機能自閉症である場合がほとんどでしょう。
診断における基準を説明していきます。
●社会性の障害
大人になってから自閉症に気が付く場合は基本的に
知的障害を伴わない自閉症であると思います。
つまり高機能自閉症ですね。
大人の場合はインターネットを利用しても手軽に診断
できるチェックシートなどがあるようですが、
これらはあまり参考になりません。
何が出来ているから自閉症で、何が出来ないから
自閉症ではないという単純なものではないためです。
診断には3つの要素があり、その一つが社会性障害です。
この社会性障害とは、簡単に言えば人付き合いが
出来るかどうかです。
得意か苦手かという問題ではなく、目を合わせることが
できなかったり、緊張して話せなくなってしまうということもあります。
これにより会社または日常で
人間関係を構築できないことが問題になります。
●言語性またコミュニケーションの障害
これは周囲との接触の距離が掴めない場合に問題で
あると感じることが多いようです。
会話が成立することが難しいという症状があります。
言葉以上の意味を読み取ることが出来ないため、
通常のコミュニケーションが取れないのです。
例えば誰かを食事に誘ったとしてその返答が「今日は忙しい」
と言われたら、普通の人は別の日を提案することが多いでしょうが、
自閉傾向のある方は忙しいことのみを理解するので、
時間を決定したり、相手が返答をくれるまで待っていたりします。
言葉にすると異常に気が付きますが、日常の中では
このような障害は気が付きにくいものですので、意識してみるべきです。
●想像力の障害
自閉症の方は想像するのが苦手ですから、たとえ話や
想像が必要になる場面が苦手です。
相手の立場になって考えられないために、
人を傷つけてしまうこともあります。
想像力が欠如しているため、
「あなたがそう言われたらどう思うの?(相手の気持ちを考えて) 」
等と言う非難の言葉にも、「自分なら気にしない」などと
的外れな返答をしてしまいます。
そのため自分の好きなものは相手も好きで、自分が嫌いなものは
相手も嫌いだと思い込んでしまうことがあります。
程度の差はあれ、大人の自閉症の診断ではこのような3つの
障害に関するチェックが行われていきます。
それが性格によるものなのか、障害によるものなのかは
どれか1つだけであったり1つの事象からは診断できないため、
詳しい検査が行われます。
また自閉症の診断基準は自閉症スペクトラムを計測する
テストのようなもので行われますが、これには知能の検査も
含まれています。
自閉症の診断は非常に難しいので、何度も言うようにどれか
1つだけでは問題がないとされる場合が多いです。
つまりセルフチェックでは正確な診断は行えません。
セルフチェック表が作られるようになり、医師の診断なしに
自閉症であると思い込んでいる方もいますが、本当に
自閉症ではない場合は対処の仕方が異なりますので、
正確な診断を受けるべきです。