重複障害とは?


重度・重複障害児とは、視覚障害,聴覚障害,知的障害,肢体自由,病弱
を二つ以上併せ有する者の他に、


発達的側面からみて、

「知的発達が著しく,ほとんど言語をもたず,自他の意思の交換及び
環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を
必要とする程度の者を指します。

行動的側面からみて、

「破壊的行動,多動傾向,異常な習慣,自閉症
その他の問題行動が著しく,常時介護を必要とする程度の者」をいう。


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重複障害の種類


厚生行政における重複障害


「視覚障害」「聴覚障害または平衡機能障害」
「音声・言語障害または咀嚼機能障害」「肢体不自由」
「内部障害」「知的障害」「精神障害」の中から2つ以上の
併せ有する場合としています。

 

学校教育法における重複障害


 

「視覚障害」「聴覚障害」「知的障害」「肢体不自由」「病弱・虚弱」
の中から2つ以上を併せ有する場合としています。


その他の重複障害に含まれる障害



上記定義内の障害および「発達障害」
「広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)」
「学習障害(LD)」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」
「情緒障害」などの障害を併せ有する場合も重複障害とされる事も有ります。


重複障害者の特徴



・コミュニケーションが上手くない



重度・重複障害者は、発声や発音に重い障害があり、
筆記などの表現手段も利用できないことが多いです。

そのため自分の意志や要求をうまく周囲に伝えることができません。

コミュニケーションが受け身のものとなりがちで、
社会経験の偏りや不足が生じやすいです。


また、学習活動にも機能的な限界があり、発言や発表、
作業をともなう主体的な活動が制限されてしまいます。

こうしたコミュニケショーションの能力の不足が、
重度・重複障害児の学習や精神的な発達を妨げています。


しかし近年、コンピュータや、VOCAと呼ばれる専用の機材を
利用することで、重度障害を有する子どもの学習や
コミュニケーションを部分的に補えるようになってきました。


また、コミュニケーション・ボードや、グラフィックシンボルなど、
シンプルな教材も適切に用いれば有効な指導を行うことができます。

こうした支援技術を積極的にとり入れ、子どものコミュニケーションや
学習の環境を整えていくことが大切です。


・食事用具が上手く使えない


スプーンや箸などの食事用具がうまく使えないため他者
の介助が必要で自分の力で食事をする事は困難です。

また、食べ物を口にとりこみ、噛み、飲み込むといった
一連の動作が正常に獲得されにくい傾向にあります。

異常な摂食のパターンが定着していたりします。

そのため、食事がうまくできず、栄養状態に問題を生じたり、
誤嚥をくり返して健康に影響が及ぶことがあります。


また、言語の機能的な発達も、こうした口腔の食べる機能の
発達と深い関連があります。


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重度・重複障害児への摂食指導は、発声や発音といった
コミュニケーション指導の一環としても重視しなければなりません。


・適切な姿勢の保持が困難



重度障害者は、姿勢のコントロールが困難です。

首のすわりや、座位や立位などの姿勢を安定させる事ができず、
寝返りや、立ったり、座ったりして、姿勢を意図的に変化させることができません。


姿勢のコントロールにも問題があるので、姿勢の保持が適切に
行う事ができず、異常な反射や筋の緊張が誘発されてしまい、
本人の意図的な活動が困難です。


不適切な姿勢の状態を放置して寝たきりにすると、
長期的には体が変形したり、関節が拘縮するなど、
二次的な身体障害も重度化することになります。



重複障害者の指導



重度・重複障害児は、身体機能が不自由でですので、
衣服の着替えや、トイレ、食事など日常生活に必要な基本的な動作が困難です。

これらの日常生活で必要な動作は指導しないと十分に身につきません、

こうしたADL(Activities of Daily Living)の訓練には、
次のような項目がある。


① 身のまわりの動作(self care activities)


食事動作,衣服の着脱,身づくろい(整容動作),トイレ,入浴


② 移動の動作

歩行,車椅子(乗り降りの動作をふくむ),階段昇降,はう,いざる


③ コミュニケーション

発声・発音,会話,筆記,電話


④ その他の生活関連動作

炊事、洗濯,掃除、乗り物の運転操作など


また、重度・重複障害児のADL訓練においては、
動作の不自由を補うため、使う道具を選択したり、
自助具を工夫して積極的に利用していくことが不可欠です。

例えば、手のまひで通常のスプーンがにぎれなくても、
持ち手を太いパイプにするだけで使えるようになることもあります。

ズボンは、ウエストをゴムにすることで自分ではけるようになる例もあります。


重複障害の認定基準



身体の機能の障害、若しくは病状又は精神の障害が重複する場合の
障害の程度は、次により認定します。


障害の程度と状態



1 級


身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が、重複する場合であって、
その日常生活がおおむねベッドでの生活であるものです。

2 級

身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が、
重複する場合であって、その状態が一部家族の援助なしでは出来なく、
おおむね家屋内にいる状態のものです。


3 級


身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、
又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものです。


精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、
又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すものです。

身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、
又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するものです。


参照:障害者年金申請方法と診断書の注意点

参照:発達障害者が仕事で成功するには?


重複障害者のコミュニケーション



コミュニケーションは、人とのかかわりや生活、
学習を進める上での基盤となり重要です。


重複障害者は、重度の知的障害や肢体不自由があるために
発信が弱く自分の意思が周囲の人に伝わりにくかったり、
感覚障害を併せ有するために意図的な介入なしでは
人とのやり取りが成立しにくかったりします。


重複障害者は、本当は、伝えるべき『心』は持っているが
『表現能力』に問題があり上手くコミュニケーションができません。


体を動かしたり、目で合図を送ったり、手足を差し出したり、
といったボディランゲージや、時には「ウー」というような発声で
訴えたりすることもあります。

しかし、コミュニケーションがとれない原因は、児童生徒の側に
あるのではありません。

例えば、まだ言葉を発する事のできない赤ちゃんがお母さんとの
やり取りで「泣く」という行動があります。

これは「お腹がすいた」という意思表示である例です。

すなわち、子どもは言語を獲得してから初めて
コミュニケーションについて学んでいるのではなく、
やり取りを通じて既にコミュニケーションの方法や
ルールを学び始めているのです。


自分の要求や考えを「分かってもらえた」という満足感、
「伝えたい」というコミュニケーションに対する意欲を育てることこそ、
生きた言葉(非言語を含む)の獲得につながっていくものです。