自閉症スペクトラム障害とは、自閉症とその周辺の障害をひとまとめにした呼び方です。
自閉症は、レオ・カナーという人によって、その存在が報告されました。

アスペルガー症候群は、ハンス・アスペルガーという人が、
1944年にその存在を報告しました。

 
どちらも、同じ時代に報告されているのですが、国際情勢などの影響により、
当初はカナーの報告した自閉症のみが注目されていました。

 
長らくその状態が続きましたが、1981年に、ローナ・ウイングという
自閉症研究の第一人者がアスペルガーの報告を再評価し、
「アスペルガー症候群」と名付けました。

近年、自閉症研究は活発になっており、自閉症やアスペルガー症候群、
その他自閉症の仲間の障害などは、根は同じものであると考えられるようになりました。

 

自閉症の症状は、重度の自閉症から、アスペルガー症候群などを経て、
健常者にまでつながる「自閉の濃さ」の連続体、つまり「スペクトラム」
であると認識されるようになりました。

 

アメリカ精神医学会の定める診断基準、DSM-Ⅳでは、
自閉症やアスペルガー症候群など、自閉圏の障害は
細かく分類されていましたが、最近発表されたDSM-5では
自閉症スペクトラム障害に統一されました。

 

【自閉症スペクトラム障害に統一された障害】

 

 

・自閉症(古典的自閉症、カナータイプの自閉症)
・高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)
・アスペルガー症候群(言葉の遅れのない自閉症)
・広汎性発達障害
・高機能広汎性発達障害
・特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)

自閉症スペクトラム障害の定義ですが、あくまで「自閉症」であるため、
自閉症の3つ組の特性を合わせ持っていること、とされています。

 

【自閉症スペクトラム障害の3つ組の特性】


 

★社会性の障害


 
ほかの人といるときに、どのようにふるまうかという能力の障害です。
具体的には、以下のような行動が見られます。

・視線が合いにくい、無理に合わせようとするとそらす、どこか遠くを見ているように感じる
・名前を呼んでも振り向かない
・話しかけても無視するように見える
・そばに人がいても、まるで誰も存在しないかのようにふるまう

 

・他人に興味がなく、かかわりに行こうとしない
・他人に興味があっても、かかわり方が適切でなく、トラブルになる
・集団行動が苦手
・一人でいても平気
・人とうまく付き合えない
・人との距離感がわからず、見知らぬ人になれなれしく話しかけてしまう

など

 

★コミュニケーションの障害


 
自分の思いをどう伝えるか、相手の言いたいことをどう理解するか
といった能力の障害です。具体的には、以下のような状態が見られます。
 

・言葉が出ない、言葉が出るのが遅い
・言葉が話せてもイントネーションがおかしかったり、言葉の使い方が変
・オウム返しがある、ジャーゴンがある(宇宙語を話す)
・話しているほど理解していない
・ジェスチャーやアイコンタクトが少ない、理解しにくい

・喜怒哀楽などの表情が乏しい
・指さしをしない
・クレーン現象がある

・空気が読めない
・冗談や皮肉がわからない
・自分の気持ちがうまく伝えられず、かんしゃくを起こす
・自分の言いたいことを一方的に話してしまう、人の話が聞けない

など

 

★イマジネーションの障害



 
ごっこ遊びや、ほかの人の立場に立ってものを考えることにかかわる能力の障害です。

 

こだわりにも関係します。具体的には、以下のような行動が見られます。

 

・手を目の前にかざして眺めたり、手をひらひらさせたり、
鳥が羽ばたくように手をパタパタと振る

・その場でくるくる回り続ける、つま先立ちで歩く、
ピョンピョン飛び跳ねる、体を前後や左右にゆする


・光るものや回るものを見つめ続ける
(おもちゃの車をひっくり返してタイヤをまわし続けたり、
ベビーカーに乗りながらタイヤがくるくる回っているのを見つめつづけたりする)

 

・一つのことに熱中し、同じことをひたすら繰り返す
・特定のものに執着する
・いつもと同じであることを好む、パターン化した行動がある
・いつもと少しでも違うと、パニックを起こしたりかんしゃくを起こす

など

参照:自閉症スペクトラム障害は小学校の普通級か支援級か?

参照:自閉症スペクトラムDSM-5の診断基準

以上は、あくまでも行動の一例です。ほかにも、たくさんの事例があります。
また、必ずしもすべての行動が見られるわけではなく、
個人個人で現れるものは違います。

健常者から見れば、自閉症スペクトラム障害を抱える人の行動は
奇妙に見えたり、困ったものに見えるでしょう。

 

しかし、当事者の行動には、必ず意味があります。
筆者も典型的な自閉症スペクトラム障害と診断されていますが、
上記のような行動をとることが多々あります。

それらには、すべて理由が存在します。
 

単に困った行動だと決めつけるのではなく、その裏にはどんな
理由が隠されているのか探り、当事者が何に困難を感じているのか
理解していただければと思います。